2018年筑波大学職員宿舎改修の事例紹介

一度使用を終了し、ベニヤ板を貼って封鎖されていた宿舎を再活用したレアケースとして2018年の筑波大学職員宿舎についてご紹介します。


背景:

2017年のアリーナ建設計画の実施に伴って、吾妻2丁目の大学職員宿舎に住む職員を移転させる必要がありました。

2017年は既に他の公務員宿舎の傾向と同様に、空室がいくらかありましたが、その理由として、①(以前とは異なり)いつまでも入居できる職員宿舎ではなく、②職種・期間の制限があったとのことのようです。

入居者は満室ほどではないものの、ある程度埋まっていたようです。

(余談になりますが当該宿舎は元公務員宿舎でした。筑波大学に現物出資されて所有が変わる前には、省庁をまたいでつくば市内の研究所職員が居住していました。)


これらの居住者を移転させるにあたって、大学は既に一度廃止していた宿舎を改装し、使用することとしました。


所在地・物件:

吾妻1丁目4階建て世帯用宿舎(郵便局向い;405~408棟)4棟と、竹園3丁目の戸建てタイプ宿舎(竹園東公園の東側;306棟他)10棟を改修しました。一方で単身寮で使用用途のない403・404棟は同じ区画にありながら放置されました。


費用:

工事本体 約5.5億

種類の異なる建物の改修のため(戸建てタイプの方が1戸あたりのコスト増)、多少の誤差はあるとして、簡単に試算すると

*吾妻1丁目の4階建て宿舎が16戸×4棟=64戸

*竹園3丁目が10棟=? →冨士工のHPによればこちらが34戸

計 98戸

1戸あたり、およそ623万円かけて改修したことになります。


吾妻は昭和54年築のPC造と考えられますが、躯体以外は内装を大きく変えたようです。

入居している知り合いからの情報では、壁紙・フローリングの改修に加えて、以前のバランス釜の風呂を取り除き、ユニットバス・湯沸かし装置は屋外付け、システムキッチン・洗面台も新品となったとのことです。また熱の出入りの多いサッシュもペアガラスタイプのものと変えているとのことです。

建物の断熱性・遮音性は建築当時と同様だと思われますが、見かけはかなり良くなったようです。(賃料も大幅アップしたようです)

冨士工 実績HP 3枚目の写真が中の様子です


ちなみに総額で言うと、

①筑波大学(竹園3丁目、吾妻1丁目)職員宿舎改修設計業務

②筑波大学(竹園・吾妻)職員宿舎改修機械設備工事

③筑波大学(竹園3丁目、吾妻1丁目)職員宿舎改修電気・機械設備設計業務


今回の改修の件と関係のない部分も少し含んでいるようですが、

①~③と最初の工事本体部分と合わせると、約7.07億円となります。


やはり傷んだ宿舎を近代化するのにはかなり費用がかかるということがわかりますが、逆に言えば手を入れることによって有効活用しており、これまでの売却→解体とは違った活用法について考えさせてくれる事例でありました。


財務省合同宿舎においても、新規建設は今後あり得ないと思われますので、

同様の大規模な改修が出てくるのか興味深いところです。


(註:本ページに記載の入札情報等は、過去にそれぞれの関係機関の公開情報を収集したものです。非公開情報等はありません)


写真:2018年の改修前の閉鎖されている状態の405・406棟。

ベニヤ板で1階は塞がれている。この状態から使用に至ったケースは他にない。

(現在は外壁塗装、植栽の剪定が行われ景色が変わりました)

つくば中心市街地を考える会

つくば中心市街地は、つくば駅周辺の公園・緑が多くゆとりのある配置など独自の特徴=つくばらしさを持つ地域です。 現在、公務員宿舎の大量廃止、筑波西武閉店、つくばクレオの売却等大きく街が変わろうとしています。 私達「つくば中心市街地を考える会」では、つくば中心市街地の現状と直面する課題、今後の理想的な発展に向けてどのような対策が可能かを提案していきます。

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